みなさんこんにちは。今シーズンの主将を務めることになりました平本です。至らぬ点も多いかと思いますが、全力でチームを引っ張っていきます。どうぞよろしくお願いいたしします。まずは部日記更新が遅れてしまい大変申し訳ございません。待ちきれなかった下級生に先に書かれてしまいましたが、溜めてしまった分しっかりと書いたつもりです。前回の部日記では改行が少なく読みにくいとのお叱りを受けましたので、今回は改行多めにしてみました。それにしても前回部日記を書いたのが2年前だということに驚きを隠せません。そんな前のことだったのかと思うだけでなく、あと一年しかないんだなぁとしみじみと感じ入っています。

 チームを作っていくのはとても難しいもので、チーム方針を決めていく冬オフ中の会議の段階からその難解さにめまいがしてきそうです。言葉が足らず、その難しさが伝わり切っていない気がします。同期の新井には1年の部日記の段階からボキャ貧を指摘されるという屈辱を味わいましたが、全くその通りとなっており今現在非常に悔しい思いをしています。ちなみに高校のクラスの友人にもずっとボキャ貧を指摘され続けてきました。ぴえん。

そんな私なので、「どうやってボキャ貧を脱却するか」というテーマについて何回か考えたことがあります。何度も何度も考えましたが、私をボキャ貧たらしめているのは色んな意味を含んでいて便利すぎる擬音や感情表現の方法(e.g.ヤバい、エモい、ぴえん等)であるという結論に至ります。主将になってからは皆の前でしゃべる機会も増え、多様な言葉を運用しながらチームの状況を正確に表さなければなりません。どうにかしてボキャ貧を脱しなければならないわけです。

多くの人が、「日本語って一つの言葉を表すのに色んな単語があったり漢字そのものが意味を持ってたりしてすごい趣深いよね」というような考え方と接したことがあると思います。私は以前、この考え方は馬鹿げていると思っていました。それは、言葉は単に意思伝達のために発達・多様化したものであり、一つのことを表すのに複数の単語が存在することに意味がないと感じ、言葉そのものに美しさを感じることがあまりなかったからです。しかし、自分が受け取った情報をよりそのものに近い形で表現しようとするときに、元の単語より細分化された表現方法が発現するのではないかと考えると私の従来の考え方に変化が生じました。

ここで、「さみしい」という言葉を例にとってみましょう。「孤独」「隔絶」など様々な類義語が浮かび上がってくることでしょう。しかしながらこれら3つの単語には少しずつ異なったニュアンスが含まれていることも同時に気づくはずです。ためしに「さみしい」と「孤独」を比較してみましょう。まず思い付くのは、それぞれの言葉を使う年齢層が若干ずれていることです。「さみしい」は小さなお子さまからお年寄りの方まで使われる言葉である一方、「孤独」という言葉はなかなか小さい子どもが使うのを聞く場面はないように思われます。加えてこれは私個人の感覚ですが、「さみしい」からイメージされる色は薄い青色であり、啜り泣いている人が思い浮かぶのに対し、「孤独」からも青のようなイメージは感じ取れる一方、黒や白、グレーといった、コンクリート壁に影が射しているというようなイメージも同時に浮かび上がります。このように類義語に目を向けてその意味の持つ奥深さを味わおうとしたことで、私の感覚は一つ細分化して新しい表現方法を獲得した、つまりボキャ貧から一歩脱却した?わけです。最近はダウンタウンの浜田がやっている「プレバト」で詠まれる俳句の美しさに心を奪われることもあります。

 ラグビーをプレーするときの私たちはどのような状況に置かれているのでしょうか?この場合は逆に、私たちの個性が多様であることにより様々な表現方法、つまりそれぞれがしたプレーに内在する論理の衝突が起こります。それでは全員がラグビーに関してボキャ貧であった方がいいのでしょうか?そんなことはないと思います。また、そうであったら軍隊みたいなチームにせざるを得なくなり面白くないと思います。とはいえ一橋大学ラグビー部にラグビーの知識がものすごくある人はいません。ならば軍隊みたいにせざるを得ないのか?とも思ってしまいますが、だからこそ気付けること、疑問に思うこともあると思います。そのような思いを皆が口に出し、高めあっていくことが今年のチームにとって最も重要な要素の一つであると考えています。とても難しいことだと思います。しかし色んな論理や矛盾がぶつかり合ってより高い次元で結合されて結論を導く、チームを作っていくこの過程ってとても面白くないですか?まだチームが始まったばかりなのにこのようなことに言及するのはおこがましいようにも思えます。が、先輩後輩関係なく皆が言いたいことを言えるという、当たり前に思えて意外と難しいことを大事にしていきたいと思っています。ちなみに後輩のみんなは平本さんを慕って??くれているのか色んなことをボコボコに言ってくれます。気持ちは嬉しいけどほどほどにしてくれな!笑

 ここまで皆の意見を聞く、しっかりと尊重して高めあう、というようなことを書いてきましたが、理想のように聞こえ、非常に困難な道のりであるかと思います。しかし私は今年のチームが目標を達成するためのもう一つの最も重要な要素として「納得感」があると思います。どのような結果になるかはわかりませんが、私はじめチーム全員が全力を尽くして高め上げた結果として一年後に納得できるチームを作りたいと思いますし、作らなければなりません。その中では、強い先輩方が抜けた穴を埋めるように実力を上げていく必要がありますが、決して同じチームを作る必要はないとも思います。今年のチームのスローガンは「TRIGGER」です。私はじめ4年生だけがチームの変化の引き金になるのではなく、全員が勝利のための引き金であり、また、対抗戦B波乱の引き金であり、銃を撃つようにラグビー一点に力を集中させて戦おうという思いがこもっています。私は現状プレー面で全員を引っ張っていけるプレーヤであるとは思えませんが、多様な論理を包含した一橋大学ラグビー部平本組をチーム全員が納得する形で一つの方向に向け、全力で前に進んでいくように方向づける引き金になれればと思います。

 私は怪我が長引いてしまい、ここまで満足にプレーできていません。個人的な今年の目標はラグビーを楽しむことです。きついこともあると思います。きついことはやっぱりきついですが、勝利のためにはきついことをやらねばならないシーンもあり、それを乗り越えられる強い意志を持つこともまた非常に重要であると思います。そもそもラグビーは厳しいスポーツで、めったに楽しいことなんてないんじゃないかと思います。じゃあどうやって楽しむのかといわれてもよくわかりませんが、プレーしなくなるとほかのスポーツと比しても圧倒的かつ無性にやりたくなるのがラグビーというスポーツの不思議・奥深さであると思います。多分心のどこかにラグビーを楽しむ心が隠れているんだろうと思いますし、ラグビーはその奥深さゆえに楽しいんだと思います。泣いても笑ってもあと一年。まずはラグビーをしっかりと楽しみたいと思います。ボキャ貧も卒業できるといいなと思っています。

 思ったことを思ったままに書き連ねていたらとりとめがなくなってしまいましたが、この辺で終わろうと思います。最後にまだ見ぬ皆さんへのメッセージです。

 一年生はじめすべての一橋大学生の皆さん、こんなに長い文章をここまで読んでくれたのならきっとラグビー部に少なからず興味があるんだと思います。ラグビー部はまだ見ぬ皆さんとの出会いを楽しみにしています。今はコロナの影響でグラウンドでは活動していませんが、活動再開して気が向いたらふらっとグラウンドに来てみてください。きっとそのまま入部してます。皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。

 受験生の皆さん、もうすぐ二次試験ですね。非常に寒いので風邪をひかないようにしっかりと栄養を取りながら栄養を取りすぎて体を大きくしといてください。まだ会ったことはありませんが、大きくなった皆さんとの出会いを楽しみにしています。